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『ルポ・収容所列島』を読んで

ルポ・収容所列島 東洋経済調査報道部 東洋経済新報社

普通に暮らしている人が、いきなり大勢に拉致されて監禁されてしまう。こんなこ
とが現在の日本で起こっているのです。昔、日本海側では北朝鮮による拉致監禁が
行われていましたが、同じような行為が合法で行われています。それは一体どうし
たわけなのでしょうか。

それを可能にするのは「医療保護入院」という精神科病院の制度です。家族の1名
の同意があれば、本人の自傷や他傷を防ぐためという理由で本人の同意なしで強制
的に入院させることが出来るのです。

これが悪用されることが、かなりあります。親子間や夫婦間でトラブルがあった場
合、一方が「医療保護入院」を使用することによって敵対者を長期的に社会に出ら
れないようすることが出来るのです。

数か月から、ひどい場合は数十年も退院できない。入院中も個室に閉じ込められた
ままであったり、ベッドに拘束されて身動きが取れない状態にされてしまうことも
ある。このような悪夢のような実話が本書には描かれています。

不同意の本人を無理矢理、「拉致・監禁」する民間移送業者も存在する。法的には
合法であるため、拉致・監禁には当たらないのであるが、実情は限りなく拉致・監
禁に近いケースもあるだろう。その実例も描かれている。警備会社が警察OBを使
って実行していることが多い。

入院中も本人の同意に基づいた治療が行われないことも多い。精神科にいるという
ことで本人の意思というものが無視されることも正当化されるのである。強制的な
投薬や強制的な身体拘束、ベッドに縛り付けられ、排せつ時さえ拘束されたままの
場合もある。人間の尊厳が大きく傷つけられているのです。

まるで映画で国家権力に逆らって強制収容所に監禁されるようなことが、現実に個
人の訴えで簡単に出来てしまうのです。一度、入院してしまうと外界との接触も断
たれ、家族や弁護士が救出することも困難です。

現在の日本ならば、これが自分の身にも起きても不思議ではないという事実は非常
に重い。多くの人が自分にも起こりうることだとして考えるべきことです。

この状況の大きな要因の一つは日本において精神科病床が過剰に存在することであ
る。病床数は34万床人口比でも世界でダントツにトップ、総患者数は400万人以上。
入院患者数28万人、平均在院日数は265日となっている。(2019)もちろん、
きちんと正当な医療サービスを提供している医療機関もあるが、悪質な業者も存在
する。

精神科の保険の点数は相対的に低く、入院に必要な医療者も他の半分ですむため、
長期の患者を少ない人員で管理するビジネスを展開する業者もいる。このこと自体
は違法ではないが患者の利益を第一に考えない業態は非常に問題がある。

引きこもりを無理矢理、精神科に入院させることで解決を目指すものや、生活保護
を受給できるように入院させるものや、認知症の患者を長期入院させるようなビジ
ネスモデルもある。どれも現行の医療保険制度の本来の目的を外れていると言える。

精神科というのは受診するということが世間に公にすることが憚られる分野である。
そのことも、このような精神科を取り巻く数々の問題を放置してきた遠因であろう。
現実の姿をしっかり見つめる時期がきている。

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