キルギス人の誇り
私が毎年キルギスに行って合気道のセミナーをやっていることをご存知の方も多いと思います。
キルギスは人口600万の中央アジアの小さな美しい国です。
彼らの素晴らしい点はいくつかあるのですが、なかでも特筆すべきことは独立の気概です。
キルギスは1991年のソ連崩壊を機に独立します。その後、2005年と2010年に当時の独裁体制の大統領を追い出しています。
キルギス人は、この2回の政権交代を革命と呼んでいます。市民の不満がデモや暴動につながり、最終的には大統領を国外に追放するのですから、革命という呼び名に嘘偽りはないと思います。
どちらの革命も死者が出ています。合気道の会員の友達で2010年の革命で亡くなった方もいます。
その話をする彼の目は澄んでいました。そこには悲しみも怒りもありませんでした。
そこで死んでいたのは、もしかしたら自分かもしれないこと
自分達は掛け替えのないもののために戦ったこと
死んでいった友が守ろうとしたものを残された者たちが守らなければならないこと
その全てを静かに受け入れている目でした。
キルギスの独立は苦難の道のりでした。モンゴルやロシアにも支配されてきました。
近年の苦難の時はスターリン粛清でしょう。
1930年代後期にキルギスの政治家や官僚や知識人のかなりの数が殺されています。
恐ろしいことには殺されたであろうけれど真相が分からない消息不明の人も、かなりいるということです。
私は100名以上が虐殺された場所に行ったことがあります。
その殺害を見ていたのは一人の少女でした。でも、それを誰にも話すことはできませんでした。
そして彼女が老婆になったときソ連崩壊がおきて、はじめて虐殺のことを話すことが出来たのです。
彼女がいなければ、真相は永遠に闇の中だったでしょう。
何十年の時を経て、はじめて、その人たちの死が明らかになったのです。
誰も知らないうちに、この世から消えてしまった人たちは数知れません。
そんな苦労の末に手に入れた独立と自由だから彼らは戦うのです。
政治は自分達のものであると確信を持って言えるのです。
いま多くの日本人が政治を諦めています。
本当のことを言えば私も日本の民主政体には絶望しているのかもしれません。
でも絶望の中で戦うことの出来るものだけに希望は見えてくると信じています。
今回の参院選で一番戦っているのは彼らだと思います。
私達は2本の矢しか持っていません。
この2本の矢をラスボスのどこに打ち込んだら一番効果的か、既に狙いは定まりました。
後は矢を放つのみ。
いま、私が伝えたいことはたった二言。
立って、戦え。
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