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現在の日本を理解するたとえ話

2021年10月31日に日本の衆議院議員選挙が行われます。これは政権与党を決める選
挙です。この選挙にちなんで現在の日本をよく理解するためのたとえ話をします。

日本は巨大な船です。それがタイタニック号のように沈みつつあります。ただ、タイ
タニック号と違うのは沈むまでは、かなり時間がかかるということです。沈むまでは
5年なのか、10年なのかは誰にも分かりません。沈むといっても、どこまで沈むの
か、再び浮かび上がることはないのか。これにも諸説があります。

少なくとも、冷戦終結後の、この30年間は、明確に沈んできたと言えます。ただ
し、その沈み方も一様ではなく、たまに浮かび上がる時もあれば、沈み方が止まると
きもあります。この沈んで行くことが避けられない運命なのか、政策的に対応できる
ものであるかについても諸説があります。ただ、恐らく既に沈んでいくことを止める
地点は過ぎ去ったと私は思います。

この船の一等船室は、それほど悲惨なことになってはいません。ただ、少しずつ一等
船室から二等船室に移動させられている人達がいます。二等船室は少しずつ悲惨なこ
とになっています。ただ、少しずつなので悲惨さに慣れてきています。三等船室は、
生きる希望を無くしてしまう人も出るほど厳しいことになっています。二等船室から
三等船室に落ちてくる人も出てきています。二等客は現在の地位を守ろうと必死にな
っています。

世の中を動かしている為政者グループは一等船室のほんの一部です。彼らは日本を沈
没から救うことは考えてはいません。沈没を出来るだけ先延ばしして、その間に状況
が改善するのを待っています。先延ばしした間に状況が一変する可能性もゼロではあ
りません。

そんな彼らを無責任だという人もいるかもしれませんが、仕方がない側面もありま
す。沈没を避けようと大幅な変化を起こすと、今までよりも早く沈んでしまう危険性
があるのです。日本が沈没しないのは、多くの人が沈没などしないと思っているから
です。沈没すると思う人が増えると、本当に沈没する可能性も上がっていきます。

ただ、このリーダーの中には最早、日本を支えることよりも私腹を肥やして自分達だ
けでも脱出できる救命ボートを用意しようとしている者もいます。そこに群がる一等
の客もいます。二等や三等の客でも彼らに協力して分け前にあずかりたいと行動して
いる者もいます。

そんな私腹を肥やしている客たちに不快感を持っている一等の客もいます。彼らは基
本的に上品な一等客です。

三等船室のひどい部屋には既に水が入ってきています。死がイメージされる彼らは自
分達を上の船室に移動させろと騒いでいます。ところが、あまり大量に一等や二等船
室に移動させると船のバランスが崩れて早く沈みだす危険性もあります。また、一等
や二等の客は出来るだけ汚い三等客は見たくないと考えています。

さて、この話の中で、ざっくりと日本の政治状況が描かれています。

一等客は少しぐらい三等客が死んでも船が沈まないことが大切だと考えています。
三等客は余裕がないので政治的なことは、あまり考えていないでしょうが、もし考え
るなら、自分達を犠牲にして進んでいる社会など意味がないと考えるかもしれませ
ん。二等客はとにかく生き残ることが大事で、三等なんかに落ちてしまったら、破滅
の一歩前だと考えています。

私腹を肥やしている為政者は、今の自民党の中心グループです。もちろん、一等客で
す。それに不満を持っているグループも自民党内にもいます。しかし彼らは、今のグ
ループが失脚しない限り、自分達の意見が通ることはないということは十分理解して
います。

立憲民主党や国民民主党は、この腐敗集団が不快な一等客です。彼らを腐敗集団批判
勢力と名付けます。ただし腐敗集団批判勢力自身は、三等客ほど追い詰められていな
いので、もっと上品な問題に比重があったりします。例えば、SDGsやLGBTQといっ
た問題が重視されたりします。イメージされる人物像は朝日新聞を読んでいるような
層です。思想的に偏りはありますが、腐敗集団よりは知的である層です。

腐敗集団批判勢力は腐敗集団よりは船の沈没のことを懸念しています。年金や福祉の
制度が財政破綻によって崩壊することを心配しているので財政規律を守り、歳出拡大
には抑制的です。この点では財務省と同じ傾向を示しています。生活には余裕があり
学歴も高いため、貧乏人と馬鹿の気持ちは分かりません。

この点で、腐敗集団批判勢力に反発を感じる層がいます。二等・三等船室の腐敗集団
協力勢力です。維新の会が、それに当たるでしょう。基本的に腐敗集団に協力し、批
判勢力を攻撃することで腐敗集団からのおこぼれをもらうことを目的にしています。
日本全体が沈んでも、各地域で勢力を確保できれば自分の周りだけは生き残ることが
出来るだろうという発想です。

腐敗集団は大枠では財政規律を守ることに主眼を置いていません。株価を維持し政権
を安定させる金融緩和には賛成ですが、一部の予算を回すだけで自分の周りが利益を
享受することが出来るので財政拡大は自分達の利益には必要がありません。よって財
政拡大には抑制的です。

共産党やれいわ新選組は三等船室の貧乏人のための党です。閉じ込められた船室のド
アを開けろと叫んでいます。共に三等船室に予算を回せと主張します。財政拡大が目
標です。両者の違いは要求している予算の額です。

共産党は税制を変えることで大企業や高所得者から低所得者にお金を移動させようと
します。ただ、日本丸を維持することには関心が高いので、無茶な財政拡大は行いま
せん。あくまでも、今の日本丸を維持した中で、低所得者を救おうと考えます。

れいわは、財政拡大しても日本丸は簡単には沈まないとします。インフレにならない
限り、自国建て通貨はいくらでも発行できるとするMMTと最も親和的です。共産党よ
りも大きな財政拡大を目指しています。

現在は日本丸を沈没させないために、国民を少しずつ締めあげて沈没を先送りしてい
る状態です。その負担の被害を最も受けているのが三等船室の貧乏人です。日本のシ
ステムを守るために底辺層を犠牲にしているのです。

論点は明確です。
現在のシステムを守るために一部の者を犠牲にしても仕方がないと思うか。
システムを少しぐらい危機に晒しても底辺層を救うべきか。
将来的にシステムを破綻させるとしても、現在、困っている人を救うべきか。

今の自分の状態によって、三つの解決策の中でどれを選ぶのかが決まるのかもしれま
せん。日本丸が沈没してしまえば、年金システムや医療保険システムも介護保険シス
テムも破綻するでしょう。そのシステムの恩恵を受けている人は現在のシステムを守
ろうとするでしょう。それが財政規律を守ることであり、増税政策です。明日、自分
が危機に瀕するのを心配する層と現在の自分が危機に瀕している層との対立です。

国民全体に定額金を定期的に給付して、その他の福祉政策を廃止してしまうベーシッ
クインカムも実際には機能しないでしょう。経済的な右翼と左翼が両方ともベーシッ
クインカムについて論じています。恐らく、これが現実になると両者の見解の間違い
が明らかになるでしょう。ベーシックインカムは目の前のニンジンに過ぎず、本物に
なることはないでしょう。

インフレにならない限り自国建て通貨はいくらでも発行できるとするモダンマネタリ
ーポリシー(MMT)も、長期的には使えない政策でしょう。

日本丸が沈んでもいいと主張することは、政治政党にとって、かなり困難です。そこ
でMMTならば安心ですということならば、財政拡大を大手を振って主張できます。
MMTを使うことで受け入れがたい政策を政治的な宣伝に相応しいものと出来る。
MMTは長期的には失敗する政策で、政治的な宣伝に過ぎないと私は考えます。

沈没を止める方法は恐らくありません。新しいシステムは、まだ見えません。どの政
党も解答を持っているとは言えない状況です。

それでも今回の衆議院選挙で、今まで通りか、変えることを選ぶのかという選択は容
易です。変えるならば、どの程度にするのかということを選べばよいだけです。

あなたの選択は何ですか。

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