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「マリス博士の奇想天外な人生」を読んで

マリス博士の奇想天外な人生 キャリー・マリス 早川書房

本書の著者、キャリー・マリス博士は、今、日本中、いや世界中で知らない人はいな
い「例のもの」の生みの親である。その業績で1993年のノーベル化学賞を受賞した。

マリス博士なんて聞いたことがないという人が、ほとんどであろう。しかし彼の仕事
は、最近、世界中の人が関心を持つようになった。

その彼の業績とは「ポリメラーゼ連鎖反応法」。この言い方の方がポピュラーであろ
う。「PCR法」である。

新型コロナの判定に欠かせないPCR法を考案したのがマリス博士なのである。PCR法と
は遺伝子のある部分を取り出して増幅することにより測定できるようにする手法であ
る。この技術により遺伝子の測定が容易に出来るようになった。犯罪捜査に使われる
遺伝子の鑑定も、この技術である。

このマリス博士、象牙の塔にいるような普通の研究者からはかけ離れた人物だ。サー
フィン好きで、LSD(合成麻薬)やマリファナをやっていたことを公言したり、4度の
結婚をするなど学者らしくない型破りな人だ。

本書では子供のころの実験での爆発エピソードをはじめ様々な話や筆者の科学批判、
果てにはLSD体験や未知との遭遇体験、神秘体験までまで、とんでもないほど多方面
な話題が満載だ。多くの人は筆者を大好きになるだろう。私も当然そうである。

巻末の著者インタビューを読んで、その理由がよく分かった。

引用はじめ

ブロードな(広い)知識とナローな知識という言い方があるだろ。私は、この言葉を
普通の人とはまったく別の意味で使いたいんだ。私はつねにナローな知識に注目す
る。ナローな知識こそ、ブロードな世界を説明することができるんだ。たとえば、あ
る物質に関する有機化学。それ自体は狭い専門分野だけど、この世界のすべての局面
と連結する細部を含んでいる。そういう風に世界を見たいんだ。ブロードな知識は表
層をなぞるだけしかできないからね。

引用終わり

彼は私と同じだ。同じポリシーで生きている。だから、これほど魅かれるのだろう。
マリス博士は有機化学、私は合気道。レベルは及ばないが行おうとしていることは同
じだ。

詳しくは是非とも本書で、様々なエピソードを読んでほしいのだが、一つだけ非常に
興味深い話を紹介したい。

筆者はAIDS(後天的免疫不全症候群)のHIVウィルス説に異論を唱えている。現在の
本症状に対する原因はHIVウィルスに感染することであるというのが最も有力な仮説
である。筆者はこれに疑問を持つ。

現在、出されているどの論文をみても、AIDSの原因がHIVウィルスであると確定する
ものはないそうだ。AIDSの症状は確認されている。そして、その患者からHIVウィル
スが検出される。しかし、これではAIDSとHIVが関連性があることしか分からない。

AIDSの原因がHIVなのか、HIVの原因がAIDSなのか、はたまた、別の因果関係でつ
ながっているのか。それを確定した論文がないというのである。

多くの科学者がAIDSの原因がHIVだと決めていて、それに誰も異論を唱えないだけな
のである。その真実は誰も知らない。

この話、どこかで聞いたことがないであろうか。そう新型コロナウイルスでも同様の
主張がなされている。COVID-19の症状は確認されていて、その感染者から新型コロ
ナウイルスが検出されるのであるが、未だに新型コロナウイルスがCOVID-19の原因
であるという論文がないそうである。

https://www.youtube.com/channel/UCFKuuX81ZebKUrkh1djmufA

私は、この真偽については分からない。ただ人類がまだ多くのことを分からないでい
るということは実感できる。HIVもCOVID-19も、私達はまだ病気の原因もはっきり
とは分からないのかもしれないということである。

マリス博士の主張は「分からないことを、分かったかのような振りをするのは止めよ
う」ということだ。博士のオゾン層破壊説や地球温暖化説に反対する態度はそこから
来ている。

博士は現在のほとんどの官僚的な科学者は中世のカトリック教会と同じだと主張す
る。カトリック教会は人類は原罪を背負っていると主張する。そして原罪から逃れる
ために教会の言うことを聞かねばならないとする。

本当に原罪はあるのか。イエスはそんなことを言ったのか。イエスが死んだことが原
罪なのか。これらの疑問は持ってはいけないものとなっている。

オゾン層は本当に破壊されているのか。フロンガスは本当にオゾン層を破壊して環境
を破壊するのか。オゾン層の破壊は解決すべき問題なのか。

地球は本当に温暖化しているのか。それはいつからどのくらいか。温暖化の原因は二
酸化炭素なのか。温暖化は解決すべき問題なのか、解決できるのか。

これらの質問はしてはいけないものとされている。この構造はカトリック教会と同じ
だ。

私達は本当にそんなに賢いのだろうか。博士のこの態度も私と同じである。

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